2010年7月27日火曜日

土用の丑の日(の次の日)にウナギ資源を考える



昨日は土用の丑の日.

俺はウナギを食いそびれたが,Twitterのタイムライン上では,
"うなぎなぅ~"(一応回文)
と皆さんつぶやいていて,ウナギを食した模様.

さて,
スーパーでは年中ウナギの蒲焼きがおいてあるので実感がないかもしれないが,
ウナギの資源量はここ数十年で大幅に減少している.

日本全体の統計量を見てみると,
1970-80年の平均漁獲量を100とすると,2000年代では20ほど.
つまり5分の1ほどしか採れていない.
そして,ここ数年では更に低水準になろうとしている.
2000年代が下の上なら,下の中,下の下レベルになろうとしている.

ではなぜ資源量減少をスーパーで実感できないのか??
それはウナギ来遊のある中国や台湾から養殖物が日本へ輸入されてくるからだ.

ウナギの生活史図のピンクで示したところがウナギシラスが来遊する地域.

フィリピンルソン島北部から台湾,中国,日本,韓国に分布している.
分布域の中でウナギ養殖の市場が確立されているのは台湾,中国,日本,韓国.

それぞれの国に来遊したシラスが,
どのような流れで市場に出回っているのかを示したのが次の図.

それぞれの国に来遊したシラスは,その国で養殖されるだけでなく,
養殖コストの低い中国に輸出され,養殖される.
また中国にはヨーロッパに生息するヨーロッパウナギのシラスも輸入される.
(ワシントン条約でヨーロッパウナギが輸出入規制対象となってからは不明)

このようなやり取りがあり,
養殖業の規模は中国,台湾,日本,韓国の順となっている.

養殖ウナギは蒲焼きなどに加工され,需要の高い市場に出回る.
最も需要が高いのはやっぱり日本.
中国や台湾からたくさんの蒲焼きが入ってくる.
ゆえに,市場規模は日本,台湾,中国,韓国の順となっている.

中国産の蒲焼きにヨーロッパウナギが混ざっているというのは,
養殖段階でヨーロッパウナギのシラスが混ざって,日本に輸入されているからだ.

需要の高い日本には中国や台湾から養殖されたウナギが入ってくるため,
在庫が切れることはなく,ウナギ資源量が減少している実感がない.

このように,
ウナギの分布域が複数国にまたがっている事
ウナギ分布国間でシラスや養殖成魚のやり取りがある事
などにより,ウナギの資源管理は困難となっている.

シラス来遊量や産卵を控えた成魚の漁獲量データを各国がちゃんと提示して,
正確な資源量を推定するとともに,
各国間の過剰なやり取りを規制するルールを作るなど,
天然の資源量をこれ以上減らさない手だてを協力して探さなくてはいけない.

2 件のコメント:

  1. 塚本先生提供の写真などが土用の丑の日にはワイドショーで出てましたね。日本がクジラでたたかれるみたいにいつかうなぎでたたかれる日がくるかもね。なんせ日本人は鰻が好き。鰻の完全養殖も話題になってたし、1尾300円も夢じゃない、みたいなんて言ってたけど。

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  2. おっかあさん,コメントありがとう!

    完全養殖の技術がこれから進んだとしても,天然資源を絶やしてよいということではないので,資源量減少を食い止める手だてを考えることは必要やね.

    ああ,ウナギ食べたい 笑

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