2016年1月19日火曜日

極上のブリはこうして漁獲されていた!対馬の凄腕漁師さんのプロの技。

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全国的に冬型で寒いようですが、対馬は志多留も気温1℃±3℃ぐらいでここ数日は推移しそうで、しかも暴風雪の警報が出ています。

こんな日は「こたつでみかん」か「サッカーをする」に限るのですが、本日はこの強風で対馬内の別の離島と対馬をむすぶ船が欠航。

離島側にいるサッカーメンバーが集まらないということでサッカー中止となり、対馬の厳しさを痛感する1日となりました。

 

さて、先日、対馬のブリ縄漁の体験をしてきたので、今日はそのレポートです。

 

僕は釣りもしますし、対馬に来る前もそれなりに新鮮で美味い魚を食べてきたと自負してましたが、対馬産のレベルの高さに驚いた魚種がいくつかあります。

その一つがブリです。

 

そんな極上のブリがどのように漁獲されているのか、今所属している会社の理事を勤めてくださっている漁師さん、細井尉佐義さん にお願いして、細井さんのお師匠さんでもある扇康一さんの船、泰洋丸に乗せていただきました。

 

ブリを釣る漁法はいろいろありますが、この時期はブリ縄というはえ縄漁でねらいます。

この漁は二人で行う方が効率的なので、扇さんと細井さん2名で漁をされていて、それについていかせてもらいました。

 

ブリ縄漁の1日

 

出港前の 待ち合わせ時間は午前2時45分。

ブリは早朝のわずかな時間に捕食行動が活発になるので、その時間までに仕掛けをセットしておく必要があります。

その時間を逆算しての出港になるので、こんなに早くから港を出なくてはいけません。

 

 

午前3時、出港。

すぐ近くにある港内のイケスに船を横づけします。

このイケスには前の投稿で紹介した日昇漁業の久保さんや他の定置網漁業の漁師さんなどから購入したスルメイカが活かされています。

これがブリ縄漁のエサになります。

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このイカたちをまず船のイケスに積み直し、出港となります。

ポイントまでは一時間ほど。

移動時間中、僕は仮眠をとらせてもらいました。

ヘタレですみません。

 

「ゼニ、ついたぞ!起きろよ!」

細井さんの声で飛び起き、外に出たら、風も強く、極寒です。

 

 

起きた時にはすでに船尾側で仕掛けの投入が始まっていました。

 

細井さんがイケス内のスルメイカを網ですくい、それを扇さんが針にかけ、海に投入します。

なるほど、だから二人一組でやった方が効率的なのか。

 

ただ、これを見た時、「あかん」と思いました。

 

この激烈な寒さの中、扇さん、軍手です。

 

おそらくゴム手袋では感覚がつかみにくいので、素早く針にスルメイカをかけるために軍手にしているのだと思いますが、寒すぎます。 

僕も途中でイケス内のスルメイカを網ですくう役をやりましたが、それでも冷たかった。

扇さんはトウガラシオイルでも塗っているのでしょうか。とんでもないゴッドハンドの持ち主です。

 

で、両端にブイ(浮き)がついた本線の間に等間隔に約200本の支線が出て、その支線の先端に針、スルメイカがついたはえ縄が一時間半ほどで海中にセット完了しました。

 すると空が白みだし、いよいよブリのお食事タイムです。

 

 

意外や意外、あまり時間をおかず、巻き上げを始めました。

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感覚的にはもっとながく海の中に仕掛けを入れておき、ブリが食いつく時間をたっぷり与えた方がいいと思うのですが、すぐにあげてしまいます。

 

 

なぜかというと、こういうことが起きるからです。

 

 

 

 

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そうです。ブリが針にかかった状態で長時間放置すると、動きを制限されているので、サメに容易に食べられてしまうのです。

 

仕掛けの巻き上げは機械を用いて扇さんが行い、針外しやその後の処理を細井さんが行うという連携。

 

「さあ、ブリは上がってくるのかな〜。」と期待に胸を膨らませて いると。。。。上がってきました!

6kg前後〜15kg!!を超えるようなサイズのブリがトータル何十匹も釣れました。

 

釣れたブリはエラを専用の器具で切り、血抜きを行います。

また、海水を出したホースを口に突っ込んだり、海水の入ったバケツにつけるなどして、血をしっかりと抜きます。

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この処理をすることで体内や身に残る血が減り、血生臭さを抑えることができます。

 

 

 

その次に神経抜きという処理で即殺します。

頭部にアイスピックのようなもので穴を開け、ワイヤーを通して神経系を刺激します。

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動画でどうぞ。

(血を見るのが苦手な人は見ないほうがいいかもしれません。)

神経抜きでワイヤーが入るとそれまで暴れていたのが嘘のように大人しくなります。

まさに必殺技。

この動画では神経抜きをしてから血抜きをしていますが、普段はこの行程は逆です。

神経抜きをしてしまうと血を送るポンプの役割をする心臓が止まってしまうので、血抜きでうまく血が出なくなってしまいます。

この動画ぐらい早くすればあまり順序は関係ないのかもしれませんが。。。

 

 

 

扇さんがぽんぽんブリをあげ、細井さんがバシバシしめていく。

(イケスにいれて活かして持って帰る分も結構ありました)

サイズや個体の肥満度 などのコンディションを瞬時に見分け、直販用と漁協出荷用にわけておられました。

 

直販のお客様は対馬の、しかも扇さんや細井さんのブリを食べたいとわざわざ問い合わせてくれ購入してくれる方たちです。

ベストなものを選んで直販用にしています。

 

漁は13時頃終了して、14時すぎに帰港しました。

その後も漁協や漁連のイケスに ブリを入れ、活かしたり、道具の整備をしたり、直販のお客様への配送手配をしたり。。。。

最後までお手伝いをしたのですが、全部終わったのは17時30分。

 

移動時間は仮眠させてもらったのですが、最後はフラフラでした。

漁師のお二人はさらに過酷だったはずなのに平気な顔をしています。

しかも彼らは時化で漁に出られない時以外は毎日この生活。。。。超人的です。

また、定置網でスルメイカが調達できない時は夜出港してスルメイカ釣りから行うので出港時間がさらに早くなり、ほとんど睡眠時間がないらしい。

 

いやはや、恐れ入りました。

 

 

細井さんの刺し盛り

 

うちの会社の飲み会はよく細井さんの家で食べさせてもらうのですが、刺し盛りのレベルが半端ないです。

対馬で獲れる最高の魚を、最高の処理をして、新鮮な状態で、きれいに盛り付けられます。

もはや芸術の域です。

 

都内ならおいくら万円するでしょうか。。。。

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去年のBBQパーティーの時も包丁持参で刺し盛り作ってくださいました。

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まとめ

 

細井さんとお付き合いして思うのは、「美味い魚を食べてもらいたいと心から思ってる人なんだな」ということと、「持続可能な漁業を本気で考え行動している人なんだな」ってことです。

 

僕たちに振る舞ってくれる刺身は別に商売じゃないので手を抜いても良いもんだけど、めちゃくちゃきれいに盛ってくれます。

「獲った魚の価値を最大にして消費者に提供する」ってのが常識になっている人でないとここまではできない。

 

また、直販で 完璧な魚をお客様に届けたり、

 

海子丸 | 長崎県 対馬から産直、鮮魚卸・販売・公式通販サイト 天然一本釣りの海子丸。寒ブリ・嫁ブリ販売中
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自身の獲った魚を扱うお店に直接出向き、魚への想いをお客様に伝えたり。

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一般にイメージされる「漁師」のやることの外のこともバリバリやっています。

こういった「生産者と消費者が結びつく」ような取り組みがこれからの漁業ではめちゃくちゃ大事だと思っています。

細井さんのような漁師さんが増えれば、きっと漁業の未来は変わっていくはず。

僕も気張っていきます。

 

対馬のブリは今から2月中旬ぐらいまでが一番おいしい時期です。

ぜひ細井さんのブリを食べてみてください!!

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 (写真の一部は細井さんの許可を得てFacebookから拝借しました。)

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