2016年7月5日火曜日

「景観」 対馬が素晴らしい場所であり続けるために考えなくてはいけないこと

 数日前からの大雨はひと段落し、田ノ浜は静かな夜を迎えています。

 

2日前は田んぼが巨大な池と化しました。

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今日の夕方にはこの通り。

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まだ水路の水が濁っていますが、もう数日すればいつものきれいな田ノ浜に戻りそうです。

 

 

このようにBefore&Afterの写真を撮るために夕方、田ノ浜を散策していて、ふとアレックスカーさんが書かれた「ニッポン景観論」のことを思い出しました。

家に戻り、久しぶりにペラペラと読み返しました。(電子書籍なのでペラペラは間違いか笑)

うん。いいこと書いてる。

 

<目次>

序章

第一章 細かな規制と正反対の眺め -電線、鉄塔、携帯基地局-

第二章 「町をきれいにしましょう」 -看板と広告-

第三章 コンクリートの前衛芸術 -土木-

第四章 人をビックリさせるものを作る力 -建築、モニュメント-

第五章 ピカピカの「工場思想」 -工業モード-

第六章 人生は「ふれあい」 -スローガン-

第七章 古いものは恥ずかしい -町へのプライド-

第八章 国土の大掃除 -観光テクノロジー-

終章  日本人が掌に持っている宝

 

 

帯にも書いていますが、この本は対馬を含めた地方が本気で「地方創生」をする上で大切な要素、「景観」に関して、とても重要な指摘をしています。

 

 

この写真は今日撮影した田ノ浜の田んぼです。

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少し引いて撮るとこんな感じ。

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この柵はシカやイノシシよけ用です。

住民の方から話を伺うと、昔はシカの数はもっと少なかったし、山から下りて田畑を荒らすこともほとんどなかったとのことです。

この情報は不正確で、もしかしたら誤りがあるかもしれませんが、防護ネットをしなくても稲作や畑などの農業を行えていたのは事実です。

このようなシカ・イノシシ対策用の防護ネットは対馬全土、どこに行っても見られます。

景観の面で言えば計り知れない損失だと思います。

「じゃあどうすればいいの?」って問いに答えるのはなかなか難しいです。

今や島民よりも多くなったシカを適正頭数まで減らすのは多大な労力を伴いますし、捕獲したシカを有効利用するための施設も不足しているようです。

また適正頭数に近い頭数まで減らせたとしても山の環境が昔と異なりますから、人里に下りてくる可能性は十分にあるようにも思います。

 

 

 

話を景観に戻します。

これも田ノ浜です。

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「この電線がなかったらもっと美しいのに」といつも思います。

 

 

この写真は昨年佐護で撮ったものです。

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一面田んぼのとてもきれいな場所です。

 

 

一面田んぼの真ん中に道路がドーーンと通っています。

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この配置は僕はアリだと思っています。

この間を車で抜けるのは爽快そのものです。

ただ、やはり電線はいらない。

田んぼと空、周りに山。田んぼから空にかかっているような道路。

それだけで構成されるべき景観のように思います。

 

これは対策のしようがあります。

ニッポン景観論 によると、

電線に関して言えば、世界先進国の景観工学では、地下埋設がスタンダード(標準)です。

 とのことです。

 

僕は建築や土木は素人なので軽々に言えない部分もあるのですが、少し調べた結果、コストの低い地下埋設手法も導入され始めているらしく、個人的には是非対馬の電線、電柱を少なくしてもらいたいと思います。

 

 

 この写真はニッポン景観論でも紹介されている対馬市公会堂です。

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(ニッポン景観論より) 

 

上のモスクのような建物は、長崎県の離島、対馬市にある公会堂です。90年に完成した時は、まだ平成の市町村合併の前でしたので、長崎県対馬の豊玉町という、人口三千人の小さな町が、18億円を使って建てました。

〜中略〜

豊玉町のモスクは「ゲーテアヌムの"霊的建築"」の要素を反映した、などとも言われています。恥ずかしいことに私は不勉強で、これらの言葉の示す意味が、さっぱり分かりません。

 

 僕も『「ゲーテアヌムの"霊的建築"」の要素を反映』の意味がいまいち分かりませんし(ここはガチで不勉強なだけかもしれない)、なぜ反映させる必要があったのかは理解不能です。

 

(この引用部分からもわかるように、ニッポン景観論では皮肉たっぷり、ユーモアたっぷりの文調で書かれています 笑)

 

先日この建物でプレゼンしてきました。

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そこには音響のプロもいらっしゃったのですが、音響の面から見てもこの建物は全然ダメとのことでした。

 

この例を教訓にしていかねばなりません。

巨額を投じてクオリティの低いプロダクトを生産し、景観を損ねる。

アカンです。

罪深いのは、このような建物はそれがある限り景観を損ね続けることです。しかも維持費も発生します。

地下埋設で電柱、電線を減らすことにお金を使って欲しい。ふむ。

 

 

僕は研究の仕事を離れて漁業現場へ行こうと決意し、九州のいろいろな漁村を視察しました。

最終的に対馬と長崎県小値賀の2つまで候補を絞ったのですが、今考えれば、やはり景観の面が大きかったように思います。

 

 

先日の食べる勉強会で使用したスライド

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最終的に小値賀と対馬のどちらかにしようと思いました。

 

実は小値賀島の古民家をニッポン景観論の著者、アレックスカーさんが改修していて、めちゃくちゃいい感じなんですよね。

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(視察時に撮影したアレックスカーさん改修の古民家)

 

 

でもね、志多留や田ノ浜も負けていません。

僕は初めて視察に来た時、やはり特別な印象を持ちました。

今思い返してみると、日本の本来の景観がまだ残っているという感覚だったんだと思います。

視察の中で他の場所では見られなかった景観でした。

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対馬に観光で来られるお客様の全てとは言いませんが、このような景観は対馬に来島するための少なからぬ引力になっていると思います。

少なくとも僕が島外の観光客なら、間違いなく釣りで来島することになるわけですが(笑)、度肝を抜かれるような魚が釣れることも大事なんですが、こういった景観も含めてスペシャルだと感じるでしょうし、だからこそまた着たいと思うと思うんですよね。

(でかい魚釣るだけでいいなら、遠征してくれる釣り船はたくさんあるわけです。)

 

 

 一度壊れた景観はそう簡単には戻ってきません。

対馬が有している「景観」という資源を守っていくことも地方創生の大事な考え方だと思っています。

 

  

  今日の田ノ浜の港。

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水路からの濁流がまだ流れ込んでいて、広範囲で濁りが残っています。 

 

あと数日経てば、こんなきれいな田ノ浜に戻る予定です。

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 台風さへこなければ。。。。

 

 

 

紹介した ニッポン景観論、オススメです。是非読んでみてください。

前回の投稿からのトーンの違いがハンパないですが、ご容赦ください。

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