数日前、島おこし協働隊(対馬の地域おこし協力隊)のミュージアム・プロモーターの女の子から、『「みんなで運営する博物館」市民スタッフ説明会をするので是非ご参加を!』とメッセージをいただいたので昨日参加してきました。
僕はこの説明会に出るにあたり、参加目的と自分の存在意義とを明確にし、出席しました。
参加目的は、説明会そのものへの興味というよりも、どのような人たちがこういう会に参加されているのかに興味があり、「意識高いかつ行動に移す系対馬市民」にお会いしたいとの思惑でした。
普段、博物館や美術館に行ってもあまりテンションがあがらない僕がワクワクできるような博物館なら、きっと同じような層の人たちも振り向いてくれるだろうから、僕がワクワクできるような作り込みを提案できたらと思いました。
そういう提案をすることが僕の存在意義ということで参加してきました。
説明会が行われる上県総合センターに到着したのですが、「本当にここで良いのか??」と思わせる静寂に包まれていました。
参加者は僕を含めて3名、関係者7〜8名のパンチの効いた説明会でした。
他にも島内2箇所で同様の説明会をしたみたいですが、博物館建設予定の厳原開催の会場で10数人、もう一箇所は2名の参加だったようです。
正直、もう少し参加者がいるものと思っていましたが、この状況から市民の関心は決して高くないと現状を捉えなくてはいけないでしょう。
こういう状況であれば、「どういう博物館にしていけばいいか」という議論の前に「なぜ博物館を作ることになったのか」、「なぜ博物館が必要なのか」をお聞きできれば良かったのですが、プレゼンでその話はすっぽりなかったのは残念でした。(今からでもいいので教えてくれると嬉しいです)
それで、「どういう博物館にしていけばいいか」に関しては「みんなで運営する」ということで「市民の市民による市民のための博物館」のようなものを僕個人としてはイメージしました。
基本理念は5つのようです。
1.対馬の豊かな自然、歴史、文化を発信する
2.市民・県民がともに学ぶ学習拠点とする
3.「宗家関係資料」など貴重資料を保存・研究する
4.日韓交流の拠点をつくる
5.対馬の魅力を活かした観光拠点をつくる
このような理念の博物館を市民の力を使って作り上げていこうというものなのですが、細部については例えレベルでの説明もほぼなく、残念でした。
例えば「日韓交流の拠点をつくる」というと非常に聞こえはいいわけですが、実際に博物館をそういう場にするにはターゲットをしっかりと絞り込み、周到な作り込みが必要でしょう。
「日韓の交流拠点としての博物館という時に、韓国は対馬に観光で来られた人を想定していると思うけれども、日本側は対馬市民なのか、それとも島外の観光客を想定しているのか?その双方のマッチングなど具体的なイメージを教えて欲しい」
と実際に質問をしたのですが、回答をざっくりとまとめると、「いろいろなシーンを想定している」といったものでした。
僕が少し危惧するのは、具体的な利用シーンのイメージなしに「市民」とか「日韓交流」とか「市民・県民がともに」とか聞こえのいいフレーズで議論し、「様々な人に利用してもらいたい!」という作り込みは、ともすると、誰も利用しない、魅力のない(エッジの効いていない)博物館になってしまう可能性があるということです。
具体的な利用シーンについては市民とともに作っていくという話もありましたが、まずはたたき台レベルでも用意しておいてもらわないと議論できないように思います。(昨日議論が弾まなかったのも担当者が想定している利用シーンの話がほとんどなかったからだと思います)
「細部の作り込みは市民と一緒に」っていうのは博物館が成功しなかった時の責任を市民に転嫁しているようにも捉えられます。
もちろんそんなことはないと思いますが、僕はそういう違和感を少し感じました。
また、参加者が少ないことからうかがえる市民の無関心も、結局のところ、そういった違和感をまとった事業のように思われていることが少なからぬあるのではないでしょうか。
僕がワクワクする博物館として提案させてもらったのは、やはり産業のブースをしっかりと作ってほしいということです。
本当は、対馬は釣り人にとって一度は行ってみたい聖地のような場所なので、「是非とも釣りのブースを!!」とも提案しようと思ったのですが、博物館に上州屋があるような変なイメージに自分の中で落ち着いてしまい、取り下げました。
ただ、対馬で釣れた過去最高の魚みたいな記録を掲載するのは面白いかもしれません。(釣り人のリピーターを増やす試みとして)
僕が漁業に関わることに携わっていることもあり、そういう思考になりましたが、やはり基幹産業である一次産業(漁業・農業・林業)のブースがあると嬉しいです。
漁業に関して言えば今、海洋保護区設置など、持続的な水産物の利用を目指した先進的な取り組みもありますので、過去・現在・未来を整理した作り込みがあるといいですね。
このコンセプトは対馬の教育委員会が進めようとしているESD教育(持続可能な開発のための教育)と合致するので、ESD教育のプログラムとして博物館訪問を入れたり、反対に博物館のイベントとして普段ESD教育で学んだ学習内容を児童・学生が市民や、それこそ韓国の学生と意見交換するようなことがあってもいいのかなと思います。
と、妄想して思うのは、要するに役所の内外にかかわらず、分野横断型で覚悟を持って調整できる人が手がけないと難しいってことになりました。
逆に、そういう人がいて、
「こういうの面白くね?」「いいね〜。いっちょやってみようか。」
ぐらいの軽いフットワークで意見がボコボコ出てくるようになれば、市民も関心を向けてくれるのではないでしょうか。
というよりも、「え?そこの課とここの課のコラボレーションが博物館で実現するの!?」みたいなサプライズ的内容とかがたたき台レベルでもあれば、「どれどれ、見にいってやるか」と対馬の重鎮たちを説明会に引っ張り出せるように思います。
ここまでいけば後は田舎のSNS以上の驚異的な拡散力に任せて、面白いことができる雰囲気が形成されると思うんですよね。
この軽いフットワークを実現するのは並大抵のことではないでしょうが、市民を巻き込んで何かやるってのは、そういうガチな人なしにはできないんじゃないかと思います。
失礼しました。
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