博士課程の研究でお世話になり,学位審査の副査もしていただいた塚本先生からメールが届いた.
何と,大西洋上を航行中の船内からメールしてくれた.
お話を聞くと,大西洋でウナギの卵を探す調査航海に乗船しているらしい.
塚本先生はウナギ研究の第一人者で,
日本を含めた東アジアの河川に生息するニホンウナギの産卵場が川から遠く離れたマリアナ付近にあることを突き止めた研究者だ.
俺もこの産卵場調査に2006年から参加していて,幸運なことに卵発見の瞬間も共にすることができた.
ニホンウナギの産卵場特定は先生が東大の教授をされていた時の功績だが,
活躍の場を日大に移された今,大西洋のウナギの産卵場調査に乗り出したようだ.
何というバイタリティー...
人になじみのあるウナギの仲間としては,ニホンウナギ,ヨーロッパウナギ,アメリカウナギの3種が挙げられる.
ニホンウナギは太平洋上のマリアナ諸島周辺海域に産卵場があり,
ヨーロッパウナギ,アメリカウナギは大西洋のサルガッソ海に産卵場があることが分かっている.
ニホンウナギについては卵や産卵のために回遊してきた親ウナギの採集に成功しているが,
大西洋2種については,小型仔魚がサルガッソ海で採集されている事から,そこが産卵場であろうと推定されている段階である.
今回のミッションはサルガッソ海で大西洋2種の卵を見つける事のようだ.
俺自身も大西洋2種について,卒論,D論で対象種として研究を行った.
研究を進める上で,産卵に関する情報(主に産卵の場所や時期,それらの季節,経年的な変動特性)がニホンウナギに比べて乏しく,
産卵に関していくつかの仮定をおいて,それらの仮定のすべての組み合わせを考えて研究を進めなくてはいけなかった点は本当に苦労した.
今回の塚本先生の調査航海や今後の更なる調査で大西洋2種の産卵に関する知見が増えれば,
俺が行った研究も再解析して,よりよい研究にしていけるのではないかと期待している.
そういった意味で,調査を行っている塚本先生とリアルタイムにやり取りできることにとても興奮したし,とてもうらやましい気持ちになった.
そして,何と塚本先生は調査の様子をほぼ毎日ブログで発信してくれている!
塚本先生のブログ
塚本先生の豊かな文章表現に加えて,綺麗な写真も手伝って,現場の臨場感が伝わってくる.
ますます調査に出ている先生や俊さん,Mikeさんがうらやましい.....
是非皆さん見てみてください!!
<本ブログでの塚本先生関連エントリー>
ちゃらんぽらんな研究員のブログ: 今年も小学校で出張授業してきた
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