書評が続きます。
この本、タイトル通り、移住を考える女性はもちろん、地方への移住推進に関わる仕事をしている受け入れ側の方々にも読んでもらいたいです。
あと、意外かもしれませんが、移住を考える男性にも読んでほしい本です。
なぜかというと、実は1月に3件ほど移住に関する相談がありました。
相談者は全員男性で漁業関係の移住に興味を持っている方々。ご家族やパートナーがいる人でした。
僕自身、対馬に移住してまだ2年。漁業に携わってからは1年も立っていません。
なので、安易に勧めることはできないのですが、お話をした直感として、「移住して、この方(相談されている男性)は楽しく暮らせるだろうな」と思いました。
ただ、ご家族やパートナーと一緒に移住するか、自分だけが移住するかは迷っておられて、ただ、僕はこの点で全くアドバイスできなかったのです。
地域移住に対して、女性がどのようなことについて不安に思うのか、どういう点に期待しているのかを知っておくことはとても重要だと思いました。
このような経験から、
「移住に向いている女性の特性とかあるのかな?」
「地域に移住して、そこで根ざして活動をしている女性たちが、どのような過程で今に至ったのかな」
と思うようになり、頭の片隅にそんな疑問を抱いていました。
そして、インターネットでこの本を見つけたので購入した次第です。
著者は「灯台もと暮らし」というウェブメディアの編集長をされている伊佐知美さんで、彼女が全国を回って取材した中で、同性・同世代の「移住女子」の人たちまとめた本になります。
【目次】
はじめに
移住女子のリアル
・遠野の土地と、人に恋をした――岩手県遠野市 伊勢崎まゆみさん
・石巻で出会った漁業が天職になった――宮城県石巻市 島本幸奈さん
・移住で得た唯一無二の「私」――新潟県長岡市川口 栗原里奈さん
・「ありのままの私」でいい暮らし――新潟県十日町市池谷 佐藤可奈子さん
・地域ならではの仕事の組み合わせ方――長野県下水内郡栄村 渡邉加奈子さん
・自然を生かした子育てを実現! ――鳥取県八頭郡智頭町 西村早栄子さん
・私が大切にする「ぽっちり」な暮らし――高知県土佐郡土佐町(嶺北地域) ヒビノケイコさん
・生きる力をもっと上げたい! ――福岡県糸島市 畠山千春さん
移住女子を考える
おわりに
取り上げられている移住女子の皆さんは、移住の仕方や、地域の中での役割など多様で面白い。
「地方=一次産業がらみ」と思っていたのだけど、それだけではなく、デザイナー、ライター、幼稚園の経営者などいろいろな暮らし方があるようです。
僕は漁業に携わっていることもあり、石巻の島本さんの例は一番に目を通しました。
今度2月末に上京するのですが、島本さんがおられる「一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン」が経営している東京中野の飲食店「魚谷屋」に行ってみたいと思います。(少し前からFacebookなどて見聞きしているお店だったので)
誰か一緒に行ってください。
面白いなと思ったのは「森のようちえん まるたんぼう」を経営されている鳥取県八頭郡智頭町の西村さん。
移住後、ご自身の子育て経験から着想を得て、「森のようちえん」を起業されるのですが、最初は少人数で森に散歩に行く「おさんぽ会」から始められたようです。
そのおさんぽ会の参加者が増加し、ニーズをしっかりと確認できたところで「まるたんぼう」をオープン。
今は2園目もでき、「自分の地元でも森のようちえんを作りたい」という他の地域の方を受け入れたりもしておられます。
この着想をそのまま対馬に持ってくることはできないかもしれませんが、海や山の自然がたくさんある対馬なので環境的にはできなくはないし、そういう環境での子育てが一次産業の担い手の育成にも繋がっていくんじゃないかと思ったり。
どの程度のスケールで運営できるかは別として、「おさんぽ会」レベルから始めて、地域ニーズをはかり、適正な規模を見極めて経営という順序でやると失敗しづらいんじゃないかと思いました。
(もうすでにしていたらすみません。 )
伊佐さんがまとめられている「移住女子を考える」は移住を考えている女性は必読です。
伊佐さんご本人のこと、伊佐さんがインタビューしてきた方のお話、統計データを基に移住のしかたをすっきりまとめてくれています。
「実際に移住がしたくなったら」という章では、
・移住先編
・住まい編
・お金と仕事編
の3点について詳しく記述してくれています。
で、最後に、東京出身の女性がこの「移住女子」という本を読んで移住するまでのシミュレーションを日記形式で紹介されています。
ここで取り上げられているシミュレーションは非常に現実的で、無理のない移住のしかたであるように思いました。
段階段階で、僕が移住した時と同じようなシチュエーションも出てきて、面白かった。
ということで「移住女子」オススメです!
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