知り合いの方から昨年末にFacebookで「小さくて強い農業をつくる(久松達央著)」という本を紹介してもらいました。
こういう本との出会いは一期一会なので、即購入。年末年始に読みました。とても面白かったです。
農業が好きな人、地域移住して一次産業に関わる仕事をしたい人などにはお勧めしたい本です。
【目次】
第一章 一流企業サラリーマン、華麗に道を踏みはずす
第二章 新人農家「農家に向いていない」ことを思い知る
第三章 言葉で耕し、言葉で蒔く。チームで動く久松農園の毎日
第四章 「向いていない農家」は、日々こんなことを考えている
第五章 向いていない農家、生き残るためにITを使う
第六章 カネに縛られない農業を楽しむための経営論
第七章 強くて楽しい「小」を目指して
著者である久松達央さんがサラリーマンを辞め、「久松農園」という野菜を飲食店や消費者に直販する会社を立ち上げるまでのストーリーや「久松農園」の農業アプローチを知ることができます。
僕は、久松さんが農業でされているアプローチの漁業版にチャレンジしているので、とても刺激を受け、参考になりました。
失敗談もたくさん書いてあって、僕も共通する失敗をしてきました。
なので、「わかるぞー!」という思いでたくさんハイライトをつけてしまいました。
来シーズンは同じ失敗をしないようにしたい。。。
この本の中にとても共感する文章がありました。
一歩引いて冷静に考えてみると、「一生懸命」かどうかなど、100%こっちの都合なのです。そんなこととは無関係に、台風はみなに平等に、公平にやってきます。マジメにやっているから、こいつは見逃してやろう、というような意思は働かないのが自然の良さだと思うのです。
〜中略〜
自然は不条理だけれども、理不尽ではないのです。そして僕は、理不尽なことより、不条理なことの方が受け入れられるのです。
ちょうど今、1月の対馬は北西風が吹き荒れることが多く、漁に出られる日は半分ぐらいでしょうか。(大きな船を持つ漁師さんは多少の時化でも出てますが)
もっと海に出たい気持ちもありますが、こればかりは仕方ない。
それでも漁に行ける日には対馬の豊かな海を感じることができます。
シケの時に作った道具で一匹ずつ魚を獲り、シケの時に情報発信して連絡を下さったお客様に魚を送ります。
余った魚はご近所におすそ分けします。
おすそ分けのお返しにと、近所の磯場でとったイワノリをいただきました。
今日は定置網にたくさん太刀魚が入ったらしく、兄ちゃんが配ってくれました。
自然の不条理を受け入れて、それに適合しながら生活を組み立てていくのはなんとも言えない醍醐味があります。
農業と漁業はメインとなる産業構造が似ているので、その産業構造の中で生産者が受けるメリット、デメリットもよく似ています。
僕は漁業で、そのデメリットを解消するために1年間直販をしてきましたが、実際にやってみるとそう甘い世界ではなく、むしろ漁協に魚を預ければお金に変わるという既存流通のメリットの大きさを痛感しました。
とはいえ、今のままの一次産業だけでは、衰退していくことは避けられないと思います。
これまでの一次産業とは異なる「また別の」一次産業のあり方として久松さんの「小さくて強い」というやり方は素晴らしいです。
新規就業で農業や漁業分野で移住を考えている方などは、このアプローチを知っておくと良いように思いました。
最後に久松さんの野望が記されているのですが、僕も漁業分野でこのような流れを見ることができたら、そんなに嬉しいことはありません。
やったるで!
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