2010年9月11日土曜日

インターンシップへ行っている弟へ

インターンシップはどうですか?
俺はインターンシップを含めて就職活動をしたことがないので,
あなたがどのようなことをしているのか興味があります.

さて,そろそろ周りも就職情報を集めたり,
修士課程進学を考えたりしている頃ではないでしょうか?

あなたも真剣に進路を考えるべきだと思います.

というのも,学者,研究者を目指しているのでなければ,
修士課程に進学するという選択肢の重要性は年々薄れてきているからです.

俺は大学3年から今まで毎年,3世代の就職活動を見てきました.

第1世代は学部時代(大学3年後期〜4年前期),
第2世代は修士時代(修士1年後期〜2年前期),
第3世代は博士時代(博士2年〜3年前期),
です.

博士過程に進学するという事は,
研究で飯を食っていくという意思表示だと企業は考えています.
にも関わらず,3世代目で研究とは関係のない就職活動をするというのは,
"就活者がこれまで2回も就職チャンスがあったにも関わらず何も考えずにくるところまで学生をした"
というネガティブな印象を企業が抱くため,その手の就職活動は困難を極めます.
この世代の就職が決まるのは,
今やっている研究と企業が求めている専門性がぴったりとマッチしたときか,
就活者がどこでもいいから入れてくれと大きく妥協したときだけです.
しかし後者を選ぶ人は少なく(自己の過大評価による),就活がうまくいかなくなって,ニート,フリーターへ
という高学歴ワーキングプア現象も目立つようになっています.

では第2世代,修士課程の就職活動はどうか.
今日伝えたいのはこの世代の就職活動状況が激シブになっていることです.
ここ数年で本当に厳しくなっています.

修士に入学する時,その時点で修了後就職を考えている人がよくいます.
本人の中では,
東大のネームバリューを持って修士で就活すれば,
中堅の学部卒で就活するよりも良い企業に就職できるだろう
と考えているようです.
しかし,東大というネームバリューは幻想です.
それが有利だと実感したという話を一度も聞いたことがありません.
企業にとって,修士号を持っていることはほとんど有利に働かないようです.
もし第1世代と第2世代が同じ企業の面接を受けて,
同じ能力だと判断されたり,短期間で挽回可能な差だと判断された場合,
若い第1世代のほうが有利になります.

また,就職活動に費やす時間が長い(長くなっている)ことも重要です.
修士で就職活動をする場合,最長で1年ぐらいかかるようです.
その期間研究にさける時間はほとんどないので,
実質1年で修論を仕上げることになります.
やはり,1年では"ちょっとまともな卒論"程度の中途半端なものになります.
研究がこの調子では就活も全力投球できず,
両方中途半端という人も多いです.
就活と研究を両立させる(中途半端にしない)ためには,
それぞれについて相当戦略的にしないといけないと思います.

悲劇的なのは学部のノリをもう2年間味わいたいと,
何も考えずに入学してしまうことです.
俺の周りにもゴロゴロそういうやつがいて,
学年が上がるにつれ,ちゃんとやっている同級生との差は広がっていっています.

さらに悲劇的なのは学部のノリを修士で2年味わって,
そのノリを博士で3年味わいたいと感じている人です.
もうここまでくると自分のキャリアパスについて完全に思考停止状態になっています.
博士進学の動機やその後のプランをきいても,
"誰々が進学を勧めてくれているから"
"就職が決まらなかったから"
"どうしたらいいですかね〜.その時の雰囲気で"
と,主語を自分で話す事ができない.
すべて外部環境にまかせて,身を委ねていて,かつその事に気づいていない人です.
もし俺の研究室にそういう人がいたら全力で阻止しようと思っています.
本人にはその先に高確率でプーが待っているし,
研究室に貢献することも考えにくい.
両者にとってメリットが少ないからです.

まあ,つらつらと書きましたが,
景気回復が当面期待できないこのご時世では,
今あなたがいる第1世代は最も企業が門戸を開いてくれていると思ってよいかもしれません.

就職した方がよいといっているのではなくて,今の時期に真剣に考えた方がよいということです.

2 件のコメント:

  1. 誠に正論、傾聴に値する、貴重なアドバイスです。
    "YOU" must read it very carefully

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  2. どちらを向いても閉塞感。若者にはしんどい時代となりました。「あえて読まんとくわ」と笑って言うとりますが、インターンシップはしんどさと楽しさの連続のようです。溶接の現場でロボットのアームを見て立ちっぱなし。高温で体力を消耗するが、課された仕事は機械のエラーのテェックという単調なもの。でも現場の人たちは明るく、仲良く、すごしやすい由。毎日夕飯時の報告を楽しく聞いています。指導してくださる方がコンパに参加すると言う。「社会人になったらこんなええこともあるぞ。」と教えてくれた等。あの子なりにいろいろ考えていると思います。

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