2015年10月27日火曜日

「僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 」和田一郎著(ICHIROYA代表)

Thumb IMG 1974 1024

※著者の和田一郎さんから献本頂きました。和田さんに感謝。

 

本書との出会い

 

和田さんの存在は、はてなブックマークだったか、何かのキュレーションサービスだったかで彼のブログが取り上げられていたことで知った。

ICHIROYAのブログ
和田一郎さんのブログ

 

 

 

和田さんは着物販売事業をされていて、 俺の興味範囲とはかなりかけ離れている。

ただ、小さなナリワイを少しずつ大きくしていくアプローチや、そういった営みによって自分の生活を形成することに興味があったので、

和田さんのブログで取り上げられている起業の話や商売人的な考え方がとても魅力的にうつった。

また、 和田さんの文才に惹かれた部分も大きい。もう一年以上Feedlyに登録して記事をチェックしている。

 

ブログを楽しく見させていただいていたら、和田さんが以下の書籍を出版されるということを知った。

 

 

 

 

ブログを拝見する限り、起業して、とてもうまくビジネスを回しているように思えたので、タイトルを見た時には、

「え?会社をやめてよかったことではなくて後悔したことを書いたの??」

と、少し違和感を感じた。

 

で、「後悔したことを読んでもテンション下がるな〜。」

とスルーしていたが、むしろ後悔したことを読んでおくことに意味があるなと思い、Kindle版が出た時に購入。

この本は盲腸で入院している時に病室で面白く読ませてもらった。

この時に知ったのだが、和田さんは京大の農学部水産学科卒で、釣りが趣味、

前職の百貨店のお仕事では釣りの展示会を企画したこともあるとのことで、水産学・海洋学を学び、釣りが趣味な俺としては一気に親近感が湧いた。

 

そして今回、和田さんの2冊目の著書である、

「僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 自分のビジネスを始めたい人に贈る20のエピソード」

が発売された。

 

 

 

 

これを見た時に、

「あ、これは面白そう!なるほど、2作目が起業の話なので、処女作は会社時代の話だったのね」

と、処女作のタイトルを見た時に感じた違和感はなくなった。

 

それで、俺の一方的な親近感から和田さんに連絡して、本書を献本いただいた。

 

目次

 

一章:起業にも二つの道がある

僕が得た教訓:自営業の生存率

二章:最初のプラン

僕が得た教訓:起業する人に特定のタイプはあるか

三章:会社を退職した日

僕が得た教訓:他人のアドバイスは役に立つか

四章:辞めると言った時の家族の反応

僕が得た教訓:何がなんでも妻は説得せよ

五章:退職直後の家計状況

僕が得た教訓:公的融資と奨学金は似ている

六章:いったい自分に何ができるのか

僕が得た教訓:起業の教科書をいくら読んでも答えは出ない

七章:エスニック・ショップしかない

僕が得た教訓:教えを請えば教えてくれる

八章:土壇場で思いとどまる

僕が得た教訓:パッションだ、と人はいうけれど

九章:また振り出しに戻る

僕が得た教訓:成功するための計算式

一〇章:そうだ、着物を海外に売ろう

僕が得た教訓:辞めて初めて出会えるものがある

一一章:自分の名前で初めてモノを売った日

僕が得た教訓:何から手をつけるべきか

一二章:一番の問題は「仕入れ」だった

僕が得た教訓:やってみなければわからない

一三章:ライバル登場

僕が得た教訓:商才ってなんだ?

一四章:月商一〇〇万円を突破

僕が得た教訓:誰かの「困った」を解決しよう

一五章:僕の師匠

僕が得た教訓:独立したら孤独になるか

一六章:ハードワークな日々

僕が得た教訓:二、三年はハードワーク

一七章:メールニュースともう一人の師匠

僕が得た教訓:ブログの役割

一八章:甘ちゃん卒業

僕が得た教訓:いくら稼いだのか

一九章:その後

僕が得た教訓:自分の商売を見つけるための資質

二〇章:やるべきかやらざるべきか

僕が得た教訓:いつの時代も、バスはもう行ってしまったかのように思う

 

各章+「僕が得た教訓」という構成。

それぞれの見出しを見ただけでも何かワクワクしてしまった。 

 

感想

 

この本の想定読者について、 第1章に

最初にはっきりと宣言しておきたいのだが、この本は自分の満足する居場所を作りたいと思っている人のために書いたものだ。

 と書かれていて、

そういう読者に対して、和田さん自信がいかに「自分の商売と居場所」をみつけてきたか、を伝えることが目的の本になっている。

 

 俺はこの本を読む時点で、和田さんがどのようなビジネスをされているかブログですでに知っていたので、

そこに至るまでの一章〜九章は、「あ、そういうトライをしてはってんな〜。」とハラハラしながら読んでいた。

特に重要な局面として8章の「土壇場で思いとどまる」で出てくるコンサルタントとのやり取りがある。 

和田さんの事業計画、資金計画に対して、そのコンサルタントは、

「絶対に失敗します。やめておきなさい。」

 と躊躇なくいったという。

 

それで振り出しに戻り、(とてもご苦労されたとは思うが)今の事業にたどり着いて、その事業を成長させられている。

この言葉はかなり大きなターニングポイントになっているように思った。

 

 もう一つ大きな局面としては、やはり初めて着物が売れたところだろう。

すべての商品が、次々と落札されていった。 生まれて初めて、自分たちの名前で自分たちの力で商品を売ったのである。

どれほど、嬉しかったことか。

ここはリアルに鳥肌がたった。

この時点では長いトンネルの出口の明かりがかすかに見える程度だけど、

確かに明かりが見える事が本当に嬉しかったのだろう。

 

和田さんの穏やかな人柄と関西人ならではの面白さを感じる一方で、

家族や従業員を食べさせていくためには超えなければいけない壁や犠牲にせねばならぬものがあるビジネスの厳しさをも感じさせる本になっている。

 

着物が売れ始めた後も、様々な困難が 待ち構えているのだが、一歩一歩進んで行かれる和田さんの商いの物語、めちゃくちゃ面白いです。

是非本書を手にとって読んでみてほしい。

 

 

 

 

 

 

参考になった点

 

俺は対馬の限界集落に身を置いている関係で、この本を読みながら地方創生について考えてしまう。

地方で行うべきトライはまさに和田さんのようなアプローチなのではないか。

地方には一次産業を中心に、様々な素晴らしい資源がある。

それらを地道に、勇気を持ってマネタイズしていくことが何より大切なのではないだろうか。

そこには和田さんが退職から起業されるまでの試行錯誤の期間に感じられたような不安を伴うことになるだろうが、

そこから逃げていては地方は決して良くならない。

小さく始めて、試行錯誤しながらやっていくしかない。

 

莫大な予算や補助金が降ってくるかどうかに一喜一憂するのはもう辞めよう。

(きっといくらかは降ってくるだろうが、現時点ではそれを生き金にする事は使用ルール的にも運用する人材や構造的にも難しい)

もし予算申請の事業計画書を、8章で出てきたコンサルタントに見せたら何というだろうか。

 

批判ばかりしていても仕方ない。 

俺と似たような思想でビジネスをしている人、しようとしている人たちがたくさん対馬にいる事を最近、知った。

また、そのための法律だったりルールに詳しい人がいる事もわかった。

さあ、俺も小さな起業の物語をスタートさせようではないか。

2 件のコメント:

  1. ご紹介ありがとうございます!とっても嬉しいご紹介で、充分な感謝の言葉もありません!また、いつか、一緒に、釣りに連れて行ってください!ありがとうございました!(和田一郎)

    返信削除
    返信
    1. いえいえ、こちらこそとても参考になりました!
      起業するにあたってはまたこの本を何度も見直すことになると思いますが、チャレンジしていきます。
      釣り、一緒にしましょう!!
      対馬の魚は、味音痴??の和田さんでも美味しい!って思えると思いますよ!笑

      是非、お会いしたいです。
      今後ともよろしくお願いいたします。

      削除