2016年3月9日水曜日

『魚をたくさん獲る時代は終わった』今の時代は『獲った一匹をいかに高く売るかを、漁師自らが考える時代』対馬地区漁協青壮年部連絡協議会学習会に参加してきた!

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 2月26日に平成27年度対馬地区漁協青壮年部連絡協議会学習会があり、参加してきました。

 

学習会自体は、物流のプロ、飲食のプロが上対馬の漁業者 やその関連の人に対して、熱くお話してくださり、まさに学習会といった感じでした。

懇親会ではそれぞれの立場とは別に、「対馬の漁業を盛り上げたい」という共通の思いから、熱く熱く盛り上がり、冒頭写真のような状態になった次第です。

 

学習会の様子から紹介します。

 

 

CSN地域創生ネットワーク株式会社 代表取締役 野本良平さん

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物流のプロです。

野本さんとは昨年の6月に行われた「水産資源管理に地方創生あり」というイベントで初めてお会いし、それ以降Facebookなどで活動を拝見していました。

また、僕が上京した時などは、CSNのスタッフさんとも何度か意見交換させていただき、対馬の魚を東京で広めたいことを熱心に話してくださいました。

 

最近ではメディアへの露出も増えていて、こちらの動画などはCSNさんの取り組みをうまくまとめられているのではないでしょうか。

 

 

要するに、これまではいくつもの仲買いを通し、消費地に魚が運ばれていましたが、生産地→消費地のなるべくシンプルな物流ルートを作り、消費者ニーズを満たし、持続可能な漁業を実現できるというビジネス設計をされています。

物流や飲食に精通している野本さんだからこその発想ですが、それを実現する行動力もさすが。 

 

学習会当日の野本さんのお話を聞いて素晴らしいなと思った点を。

 

1.生産物が持つストーリーをお客様まで届ける工夫

野本さんは『「モノづくり」→「モノ・コトづくり」へ』という言い方をされましたが、昔のようにモノを市場に送ればお金に変わっていた時代はとっくに終わり、今は生産現場からのストーリーを伝え、お客様の共感を得られるモノでないと売れない時代になっています。

しかし、既存の水産物流では、例えば「対馬産」のタグでさへ、お客様に届く頃には「長崎産」になってしまうことが多い。

 

CSNさんで取り扱われる水産物に関しては、どこの産地のどの漁師さんがどんな処理を施したものか、またそれらがどのように運ばれたかが料理店まで届く仕組みを構築されています。

 

例えば、このブログでも取り上げた日昇漁業さんのスルメイカ。

 

ブログはこちら↓

ちゃらんぽらんな離島初心者のブログ: 最高のイカを消費者に届けたい!鮮度保持のための漁師さんの必殺技「くちばし抜き〆」を知っているか!

 

 

 

 

 このスルメイカが既存の物流に乗せるよりもCSNさんの物流だと1〜2日早く東京で食せ、最短だと獲ったその日に東京の飲食店で食べられます。

 

生産地から届いた時のタグをもとに、CSNさんの加工場でこのような紙が加えられ、料理店に食材が届きます。

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実際にCSNさんの加工場にも伺いましたが、作業が自動化され、効率的にミスなく行えるシステムが構築されていました。

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(伺った時の写真)

 

このように風下まで詳細な情報を届け、「モノ・コトづくり」に徹していることでお客様の評価に繋がっているようです。

 

 

2.お客様視点に立った付加価値付けができている点

CSNさんが企画されたお正月の船盛のお話。

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「いつもは食べないけど、お正月ぐらいはお金払ってでもいいものを食べたい」と思っているお客様は実はかなりいる。

でも、日本全国、お正月は漁師さんも市場もお休み。

需要者(お客様)のニーズに対して、供給者(漁業者・市場)の行動が一致してません。

ここにCSNさんは目をつけた。

お正月に、理解のある漁師さんに漁に出ていただき、元旦の夕食に刺し盛りを届けられるサービスを提供しています。

値段は普通にスーパーで買う価格から考えると目が飛び出るほど高いのですが、これが売れるのです。

これがマーケティングですね。

 

インターネットがあり、CSNさんのような企業が出てきた現在、需要者と供給者のマッチングコストはこれまでに比べてかなり低くなっているはずです。

漁師さんもお客様視点でマーケティングし、ニーズをマッチさせる努力が大切と思います。

 

株式会社MUGEN 代表取締役 内山正宏さん

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飲食のプロです。

内山さんとは初めてお会いしましたが、すごいバイタリティのある方で、またすごいストーリーテラーでした。さすが社長さんです。

 

株式会社MUGEN(ムゲン) │ MUGEN CO., LTD.

 

内山さんのお話をお聞きし、素晴らしいと思った点。

 

1.他の飲食店との差別化

従来の飲食店では、「多く店舗が欲しい、大規模な事業にしたい」という考えから、 店舗で誰でも簡単に作れるようなレシピが採用されるようです。

そうすると、店舗では包丁を使わないような簡単な調理(炒めるだけ、温めるだけなど)だけを行えるよう、事前にセントラルキッチンなどで食品加工を行うようになる。

すると、曲がったきゅうりはダメ、マダイなら2kg前後でないと扱えないなど、規格外の商品を使うことができなくなっていた。

このような現象により、生産者の負担が大きくなっていたとのことです。

「そういった規格外の生産物も扱える会社にしたい」ということでどこにでもある飲食店からの脱却を図られたそうです。

技術を身につけた調理人さんがそういった規格外の生産物を美味しい料理に変換できるお店にし、生産者は形状や大きさなどを気にせず、いい食材を生産することに専念してもらいたい。

とお考えのようです。

MUGENさんがされているMOTTAINAIプロジェクトなどもそういった発想から出てきたもののようです。

 

2.生産者の声をお客様に伝えるための実践力、行動力

直接営業してきた米農家さん達のお米をMUGENさんでは使っているようで、その時のエピソードをお話しされてました。

商談成立の日、その米農家さん達がMUGENさんでお食事をされることになった時、お店の米農家さんへのサプライズでその米農家さんの新米を小さなおにぎりにしてお客様に振舞ったそうです。

そして、店員さんが「このお米はここにいる農家さんたちが作ったものです!」と紹介し、農家さんとお客様を繋いで、お話をしてもらったところ、とても盛り上がったそうです。

こういった生産者とお客様がつながるシーンはCSNさんの動画にも出ているんですが、「生産者は自分の生産したものをお客様が食べるのを見たい」、「お客様は自分が食べるものがどのように生産されているのか知りたい」、「物流や飲食の方はその橋渡しをしたい」というみんなの欲求を満たす形の付加価値付けとなっているとてもいいチャレンジだと思いました。

常に行うことは無理ですが、定期的にこういった連携プレーを行うのはそれぞれの立場で刺激があって良いように思いました。

 

 

3.お通しへのこだわり

「皆さんも食べたことがあるでしょう。わけのわからないお通し。ああいうお通しにしたくなかったんですよ。お客様全員食べてもらうお通しだからこそ、お店のこだわりを伝えたい!」と内山さん。

僕は一顧客として、「わかるわ〜笑」と思ってました。

それでMUGENさんではこだわり産地のバーニャカウダなどをお通しで出したりしているそうです。

 

そこでMUGENさん!!いいお通しありまっせ!!

以前ブログで紹介させていただいたスルメイカの「くちばし」。

ブログはこちら↓

ちゃらんぽらんな離島初心者のブログ: 衝撃のうまさ!!スルメイカの「くちばし」

 

 

 

 

図らずもこのようなことを口走っております。 

これは商品化したいですね〜。

東京の料亭などで、くちばしがお通しで2、3個出てきたら、「お、この店は期待できる!」って僕なら思いますね。

美味しくてたくさん食べたいけど、顎を取り除きながら食べないといけないので、食べるスピードが遅くなるところがミソですね。

次の料理への期待をますますあげてくれます。

 

是非ご検討ください 笑

 

僕ができること 

 

永遠に業態が変わらないものなんてないんですよね。それは水産業も同じだと思います。

時代ニーズに合わせて、お客様視点で付加価値付けをして、安売りしない方法を模索、チャレンジすることが現場でも大切と感じました。

また、僕は今回会うことのできた人たちの力もお借りしつつ、対馬でその模索を積極的にやっていきたいと思っています。

 

「需要者と供給者のマッチングコストはこれまでに比べてかなり低くなっている」と言いましたが、CSNさんのオペレーションシステムも時間の都合もあり今回の学習会では十分にはわかりませんでしたし、それを現場で導入するとなると一時的に混乱する時期はあると思います。

そういった時期に特に技術面で問題点を調整したりできたら、少しは対馬の水産業に貢献できるかなと思っています。

 

 「たくさん獲る」→「獲った魚を高く売る」漁業へのチャレンジをして、中長期的には水産資源の量を増やしたいですね〜。

 

懇親会

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ノドグロ、ブリ、サワラ。どれも最高に美味しゅうございました。

漁師さんは、「ノドグロの皮をはぐとは何事!皮付きで炙らんかい!」っておっしゃってましたが 笑

 

 

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笑顔が一番。

 

 

おまけ

我らが細井船長。

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勉強会から懇親会までの間に少し船でお仕事されてました。

日本一船上でスーツが似合う漁師。

近々、防水性素材のスーツをプロデュースし、それを着て操業されるとかされないとか。

 

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