2010年5月12日水曜日

審査員経験者から申請書の書き方について聞いてみた

今日はたまたま某研究者とお昼ご飯を食べる事ができた.
その人は役職上,さまざまな申請の審査員となっているだろうから,
思い切って,どのような申請書を評価するか聞いてみた.

ちなみにその人は科研費を申請して落ちた事がないという.
だから評価される申請書の原則をしっているのではないかと思った.

時間が限られていたので,聞きたい事を全て聞けた訳ではないが,
非常に有意義な時間が過ごせた.

以下に会話の要点を時系列順にまとめる.

1. 研究目的が明快であること

まず初めに,
"申請書を読む時まずどこに注目するか??"
という質問をぶつけてみた.
答えは,
"申請研究目的が明快かどうか,面白そうかどうか."
面白いという表現を使われたが,おそらく意義があるかという事だと思う.

"研究目的が明快でない申請書はその時点で×"
ともおっしゃっていた.
申請書全文を読んで,審査員自ら研究目的を悟ってくれることはない.

2. 異分野の人が一読して分かる文章

"出来た申請書は異分野の人に読んでもらうと良い"
とアドバイスをもらった.
つまり,専門外の人が読んでも理解されるような分かりやすい文章を心がけろということである.
しかも,何度も繰り返しよんで理解される文章ではなく,一読して理解されなければならないという.

申請者はまず,
申請書で伝えたい情報量を適切にしなければならない.
あれもこれもと情報を詰め込みすぎると到底申請書の紙面では説明しきれなくなるし,
申請研究の焦点がぼやけてしまう.

次に,
1文に乗せる情報量を適切にし,単純な文章構造にすることを心がけないと,
一読しただけでは理解されない.

幾通りにも解釈できる文章ではなく,
どんなにひねくれ者が読んでも,1通りにしか解釈できない文章で書く事も重要.

3. フローチャート,図表はGood.ただし入れればいいって物ではなく,注意が必要

フローチャート,図,表は文章を理解する補助の役割を果たすので,入れる事を進められた.

ただし,適切な用い方をしていない場合はマイナス評価になることもあるので,
用い方を吟味しろと言われた.

"図表が入っていなければだめか??"
の問いには,
"図表が入っているかどうかは重要ではない.文章だけでも良いものは通す."
とのこと.

4. PDは業績が重要

耳が痛い.
論文数を具体的に聞くと,
"主著が4本でボーダーだと思う"
と言われた.
要するに現段階では足下にも及ばないという事ですな(現在掲載済みの主著は1本).

でも,
"DC申請の時に申請書を執筆する中で研究が整理されていくのを経験したので,
受理される可能性は限りなく0だと分かっていても,PDを申請するつもりです"
と伝えたところ,非常に共感してくれた.
ま,今年だめでも,来年度の練習にもなるし.

彼は
"私は指導下にある申請者の申請書を分かりやすくするために,徹底的に添削する.
だから,申請者は申請後かなり分かりやすい文章を書く能力があがっている.
この能力は,たとえこれから研究以外で食っていく道を選択したとしても役立つ.
だから,採用されるされないに関わらず,申請書を書く事は重要だ."
ともおっしゃっていた.


話を聞いて,総合的に思った事は,
審査員は"モノがわかっているかどうか"をみているんだと思う.

で,申請者は,うんうんいいながら申請書を書く事で,
"モノがわかっている"ということがどういうことなのか,わかるようになってくるんだと思う.

いざ!!

6 件のコメント:

  1. このコメントはブログの管理者によって削除されました。

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  3. kawagucciさん,コメントありがとうございます!

    匿名の人から意味不明なコメントが来ており,それを削除しようとして,間違えてkawagucciさんのコメントを削除してしまいました.
    すみません.

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  4. なるほどね~。
    わかっちゃいるけどなかなか書けないんすよね~

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  5. T中さん,コメントありがとう!

    うん.
    そうなんよ.
    でも,その人に書けた時に一皮むけるって言われたので,
    頑張っているところっす.

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  6. 誰かわかるやろ2010年5月13日 23:22

    子どもへの諦念を伝える最高まのブログをありがとう。せやけどな、バッタもんの大阪人はあきらめまへんで。

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