昨日は休日にも関わらずN村君と研究打ち合わせ.
先1ヶ月ですることを整理した.
で,先週の金曜に研究室ゼミで発表したという彼の研究計画を聞いた.
彼はまだM1でウナギ産卵場調査航海に行ったことがない.
それでも関連する論文情報をもとに,いくつか考えられそうな仮説をもっていた.
そのいくつかは,調査を体験した者としてはあり得ないと思うものもあったが,
検証するに値する仮説も含まれていた.
まあぼちぼちやりましょう.
そんな彼に,ウナギ航海の調査風景写真を見せ,現場の臨場感伝えようとした.
その中には飲み会のものもあって,ある飲み会の面白い話を思い出した.
全観測日程を消化し,東京にむけて航走している時の飲み会で,
塚本先生がポルトガルで買ってきたというシラスウナギのオリーブオイル漬け缶詰を開けたときのこと.
まずは動画をどうぞ.
ポルトガルやスペインの河川にはヨーロッパウナギのシラスが来遊してきて,
そのシラスを漁獲してオリーブオイル漬けにする高級な伝統料理がある.
シラスが激減した現在ではもう作っていないかもしれないが....
そんな資源状況をその飲み会メンバー全員が共有していたので,
この缶詰はそれはそれは丁重に扱われた.
まず,食べる前に外部形態をみて,ステージングしようという話になった.
シラスウナギとは,仔魚から成魚への移行期なので,
見る人が見れば色素の沈着具合などをたよりに,その移行期の中のどの時期にあるのかがわかる.
この時期を特定することをステージングという.
食用のシラスウナギを目の前にして何をやっとるんだと一般の方は思うだろうが,
ウナギ研究者としては自然な振る舞いである.
ちなみに俺は全くステージングできない....
その場ではステージングのプロS田さんが行うことになった.
まずオリーブオイル漬けになったシラスをぱっと見て,
みんな同じ感想を持った.
"太い!"
日本に来遊してくるウナギのシラスに比べて,明らかに太い.
調理行程で太くなったのかな~,と思っていたら,S田さんが一言.
"ウナギに比べてヨーロッパウナギは肥満度が大きいですから"
一同
"なるほど~!!"
肥満度とは全長と重量から求められる.
全長はウナギ,ヨーロッパウナギのシラスで大差がないので,
ヨーロッパウナギシラスのほうが肥えているという印象はS田さんの発言と整合する.
ではいよいよステージング.
普通は顕微鏡下でやるのかもしれないが,
とりあえずは目視.
S田さんが一言.
"先生,目がありません!"
先生:"そんなはずはない!色素は??"
S田さん:"ありません!"
雲行きが怪しくなってきた.
なんせS田さんはウナギ,ヨーロッパウナギを含めた
多くのウナギ属魚類のシラスステージングを行ってきた人である.
ステージングできないはずがない....
おそるおそる俺も見てみた.
確かに目がない...
目はおろか,頭部と胴体部の接合部分も見当たらない....
どういうことや!
スーパーの鮮魚コーナーで"メバル"と表示されたカサゴを何度も見たことがある.
もしかして,激減したシラスに代えて,得体の知れない生物で作っているのではないか!?
おそるおそる,分かる訳もないポルトガル語で書かれた原材料ラベルに目をやった.
そこで見てはいけないものを見てしまった.
"Surimi"........
一同大爆笑!
その缶詰は魚の"Surimi"を使ったイミテーションだった!
ウナギ研究の大家,塚本教授が今の今までイミテーションであることに気づかなかった事
ステージングするまで誰もイミテーションであることに気づかなかった事
原材料ラベルで唯一読めた単語"Surimi"で全員がイミテーションであることに気づいた事
などが合わさって,大爆笑.
あ~あ,また航海いきたいな~♪
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