2011年6月18日土曜日

ウナギ高騰に関して

今年はシラスウナギの2年連続の不漁と,主要なウナギ輸入国である中国産の高騰によって,ウナギの価格が高騰しているという.


稚魚不漁でウナギの値段上昇 「中国産」まで高騰の異常事態



2010年の不漁についてはEl Niñoの発生で産卵場が南下して,黒潮に乗れるシラスウナギの割合が減ったことが原因では?
2011年の不漁については分からない.
とのこと.

しかし,2年連続で不漁となった(というかここ10年ぐらいの低水準の)主因は親ウナギの減少によるものだと思う.
不漁の主因をEl Niñoとするには無理がある.

俺は数値シミュレーションで,どのような海洋の状態の時がシラスの輸送に適しているのか,適していないのかを研究している.
ウナギの産卵場に,卵に見立てた粒子を設置して,その粒子がどのように流されていくのかを計算する.
この方法で輸送環境の善し悪しを調査している.
例えば産卵場から100個粒子を流して,黒潮に50個流れれば輸送成功率は50%となる.
この計算を複数年で行った結果,通常の年は輸送成功率が40%程度なのに対して,El Niñoが発生している年は20%ぐらいに減少する.
この結果からEl Niñoの年は輸送環境として不適だという結論を導いて論文を書いた.

しかし,この結果を受けて不漁の主因をEl Niñoにしてはいけない.
シミュレーションでは毎年産卵場に投入する粒子数は一定だが,産卵を行う親ウナギの数は毎年変化するからだ.
El Niñoが発生した年の輸送割合が通常年の半分でも産卵するウナギの数が倍いたら同じだけシラスウナギがやってくることになる.

じゃあ産卵場に集まる親ウナギの数は?ってことだけど,
河川で漁獲される成魚の数が高水準期(1970年代)の1/6ぐらいまで減少しているので,産卵親魚数も確実に減っているだろう.
つまり海洋環境が一定でも親ウナギが減少しているのでシラスウナギの漁獲量は減少する.
そこにEl Niñoの影響で追い打ちをかけたのが2010年の不漁だったんだと思う.

じゃあ2011年は?ってことだけど,2011年はEl Niñoの反対のLa Niñaという現象が起きていた.
俺のシミュレーションだとLa Niñaの年は通常年と同じぐらいの輸送環境.
だから通常年と同じぐらい採れていいはずなのだが,全然採れなかった.
これは産卵親魚が減っているということだろう.

やっぱり漁獲量を減らして,資源を保護しないといけないと思う.
特に1-2年待てば産卵を行う高齢(大型)の天然黄ウナギ,天然銀ウナギの漁獲は禁止にしたほうがいいんじゃないか?

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