2012年8月8日水曜日

タコ焼きを食いながら,オリンピックを見ながら,日本の水産のことを思う

昨日弟から,
「タコ焼き食いながらオリンピックみーへん?」
 とメールがきた.

このところ,日本のサッカーの試合がある日は,
弟が俺の家にきて,一緒に観戦することになっている.

サッカーは1時キックオフで,さすがにその時間にたこ焼き食うのはアレだったので,
21時ぐらいから遅めの晩ご飯でタコ焼きを食いつつ,女子バレー,卓球とつないで,サッカーを見る事になった.

タコ焼きの材料を買いに近くのスーパーにいったのだが,
タコは国産のものがなく,モーリタニア産しかなかった.
タコで有名な明石出身者としては,
やはりここはこだわりを持って国産ダコを買い求めに他のスーパーに行こうとも思ったが,
既に20時を回っていて,疲れもあって,そのモーリタニア産を購入した.

予想以上にタコはおいしくて,タコ焼きもなかなかの出来だった.



タコ焼きを軽快に作る弟.
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今日,ふとモーリタニア産のタコが気になった.
俺の中では日本のタコの輸入国といえばモロッコしか知らなかったから.

調べてみると,モーリタニアはモロッコと並んで,日本のタコの2大輸入国となっているようだ.
タコ/Wikipedia

しかしながら,日本へ輸出するために漁獲量が増え,資源が枯渇してしまっているらしい.
魚種別に見る水産資源の現状と問題/タコ
"日本人が、(中略),安く大量に食べることにより、ある国の資源を根こそぎ獲ってしまい、次々に違う国や地域を探して開拓していく、という、典型的な事例です。"

ウナギやマグロだけでなく,タコもそうなのね...

「モーリタニア」「タコ」で検索するとトップにNHKの配信動画のリンクが出てきたのだが,
そこでは,このような背景は全く触れられず,
タコ漁を日本人がモーリタニアに伝えたことだけが取り上げられていた.
日本とモーリタニア タコが結んだ深い絆 NHK海外ネットワーク

この動画にもあるように,モーリタニアでは撮影当時,タコ漁による月収は公務員の5倍にもなる状況だったようだ.
確かにそのタコ漁師さんは日本人に感謝の念を抱くだろう.
しかし,そういった状況がいつまでも続くわけはない.
そのような魅力的な仕事にたくさんの人が流れ,過剰な漁獲が行われ,
資源が枯渇し,採算があわなくなり,仕事を失う事になる.

そういった一連の悪循環の中の一番最初の一番おいしい部分だけをクローズアップして,
「深い絆」としてメディアが報道することは危険なのではないかと感じてしまった.
「深い絆」を目指すのであれば,過剰漁獲にならないように日本が資源管理を主導して,
現地の人が持続的にタコ漁を行い生計を立てられるように支援すべきではないか.


しかしながら,水産庁が一週間前に出したプレスリリースは,本来目指すべき持続的な水産物利用に逆行するように思える.

水産庁/ファストフィッシュ商品の公募について








「ファストフィッシュ」

"手軽・気軽においしく水産物を食べること及びそれを可能にする商品や食べ方の中で、今後普及の可能性を有し、水産物の消費拡大に資すると考えられるもの"
らしい.

今回のタコや,ウナギ,マグロの例を考えても,このファストフィッシュ商品の普及が,
このプロジェクト名である「魚の国のしあわせ」をもたらすとはどうしても思えない.


俺はこの記事の様に「サステイナブル」を目指すべきだと思う.

「ファスト」ではなく「サステイナブル」な魚を! - Apes! Not Monkeys!  本館


自分がモーリタニアのタコを食っておきながらその事は棚に上げて,偉そうなことを言ってしまったが,
今回のタコのことを教訓に,一消費者として,自分が食っているもののルーツや背景に敏感でいたいと思った.

そして研究者として,日本の水産業のために少しでも良い影響を与えられたらと思う.

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