2017年8月25日金曜日

9月3日、島おこし実践塾で講義を行います

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9月3日の日曜日、9:30-10:30の1時間、講義します。

 

対馬市の域学連携事業という「大学生を対馬に呼び込んで、地域おこし的なことをする(勉強する)」事業の一つとして島おこし実践塾という短期集中型合宿があります。

実践塾の中でいくつかテーマがあるようなのですが、3日は「海」ということで、講演の依頼がありました。

 

「もっと適役がおるやろ」とも思いましたが、なんかもう「銭本しかいない」感がすごかったので引き受けました。

(ぜひ銭本に!!という感じなのか、他の人たちに断られ、最後のカードが銭本だったのかはわかりませんでしたが。前者であることを祈ります)

 

僕個人としても、これからインターンで弊社に来てくれる学生に仕事の意義を伝える資料作成のいい機会だと思って、話を作っています。

 

9月3日当日はギャラリーの参加もOKとのことで担当者さんから回答をもらっています。

対馬市上県町志多留にある志多留公民館(?)であります。

たぶん、玄関先に白鳥がいるのでわかると思います。

 

レジュメはこちらです。

 

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「1日3時間しか漁をしない漁師(?)の生存戦略。そして持続可能な水産業の実現」

島おこし実践塾に参加された皆さん、こんにちは。志多留の隣の「田ノ浜」という集落で漁業に関わる仕事をしている銭本慧(ゼニモトケイ)と申します。

皆さんは田舎暮らしに興味があって将来そのような場所に移住して暮らしてみたかったり、人口減少や少子高齢化が進む中、地方創生の重要性を感じて、自分にできることのヒントを探しに参加されたのではないでしょうか。もしそうであるなら、私の講義は皆さんに役立つかもしれません。
私は2014年度まで生物海洋学の研究を行う研究者でした。海の中にいる魚類、特にニホンウナギの資源量がどのような要因で増減するのかを研究していました。研究によって多くのことがわかりましたが、ニホンウナギの資源量は研究を行っている間にワシントン条約によって輸出入の規制がかかるほどにまで激減してしまいました。「どのような原因でニホンウナギが減少しているのかを探ること」よりも、「ここまで減ってしまっている現状をしっかりと受け止めて、漁獲に規制をかけること」が重要なように思えました。

ニホンウナギほど減少してしまっている魚種は少ないですが、実は日本の多くの水産魚種が減少しています。この水産資源の枯渇が主な原因となり、魚価の低迷、燃料の高騰も相まって、水産業が衰退しています。もはや水産業は八方ふさがりなのでしょうか?実はそんなことはありません。世界では水産業は成長産業となっています。そのような世界での成功事例と日本の事例を対比させて勉強していると、 「漁業現場で仕事をしてみたい」という気持ちがどんどん強くなっていきました。それで基幹産業が漁業である場所を数箇所視察したのち、対馬に移住することにしたわけです。

日本の水産業が衰退した一側面として、多くの補助金が投入され続けた結果、漁業従事者がそのお金に依存してしまい、マーケットとしっかりと向き合わないこともあるように思えました。ですので、私は「社会的課題の解決を国の政策や税金を使わずに、民間がビジネス手法を使って行う*」というソーシャル・ビジネス的なアプローチで事業展開しています。このように書くと、とても格好良い感じがしますが、いざこのアプローチで仕事をしてみると、山のように格好の悪い失敗を体験することになり、自分で稼ぐことの難しさを痛感しました。しかしながら余計なリソースがない分、コアビジネスにしっかりと集中でき(せざるを得ず)、理念を追求しつつ、最低限食べていけるというレベルを突破しました。その後も少しずつ規模を大きくして今に至っています。まだ我々の活動のインパクトを地域の方々に感じてもらえるほどの規模ではありませんが、今の活動を続け、拡大していくことが「持続可能な水産業の実現」というミッション達成に有効なアプローチであることを確信できるようになってきました。

講義当日は、2部構成を考えています。前半では、なぜ研究者という立場から漁業現場である対馬に移住することになったのかと、その決断をしてから移住するまでのプロセスをご説明します。おそらく皆さんが移住という選択をされる際に役に立つ情報を提供できるかと思います。後半では私が合同会社フラットアワーという会社で行っている事業のことやその事業を進めることがなぜ「持続可能な水産業の実現」に結びつくのか、その長期的なビジョンを語りたいと思っています。このパートでは、社会的課題をビジネス視点で改善していくことのタフさと、それでもトライしてみる価値がある魅力的な活動であることを感じてもらうことができると思います。そして、あなたが地域に入り、情熱を持って社会的課題に立ち向かう勇気を少しでも与えられれば最高です。

*「社会貢献でメシを食う/竹井善昭著(ダイヤモンド社)」のソーシャル・ビジネスの定義を引用

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