2016年5月11日水曜日

「ただ純粋に」マグロ資源について考える。マグロサミットin壱岐に参加してきた!!

かなり遅くなってしまいましたが、4月16日に開かれたマグロサミットin壱岐に参加してきました!

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僕自身はマグロを漁獲することは考えていないのですが、今マグロで起こっている問題は沿岸漁業に共通するものだと考えています。

「この問題をまずは直視しよう!」と行動を起こされた壱岐市マグロ資源を考える会の皆さんに少しでも協力したいと思い、参加しました。

 

昨年の5月、「水産資源管理に地方創生あり」という催し物が早稲田大学であり、その時に登壇された壱岐のマグロ一本釣り漁師、尾形一成さんが読み上げられた手紙をご紹介します。

漁師からの手紙----壱岐のマグロ一本釣り漁師

 

日本の食文化の一つである海の幸!

一翼を担ってきたのは、私たち漁業者です。

私が漁師になった三十数年前、 海洋資源は無限だと信じて疑いませんでした。

食文化の担い手の一人だと考えていました。 誇りある、魅力的な職業でした。

 

現状はどうでしょう?

 

以前、百万人いた漁業者は今では、十七万人まで減り、 沿岸の零細漁業は淘汰されようとしています。

私ごとですが、 今年の正月、島外に出て行った長男が島に戻る決心をし、 島で就職活動を始めました。

島内にはこれといった産業はなく、 以前なら、漁師の長男は何のためらいもなく、 跡を継ぐのが普通のことでした。

漁師の息子は、親の背中を見て、 その姿に憧れ、海に出るのです。

しかし、 私は息子に漁師になることを薦めませんでした・・・

子どもや孫の世代から預かっている、 海洋資源を、私たちの世代で、 獲り尽くそうとしているからです。

悲しいことですが、まぎれもない事実なのです。

私は、マグロ一本釣りで三人の子どもを 専門学校や大学に送り出しました。

子どもたちも、マグロの恩恵を受け、 好きなマグロ漁にこだわる親父を、 尊敬してくれていますし、 体が動かなくなるまで、 マグロ漁を続けるようにと言ってくれています。 うれしい限りです。

しかし、海の現状を考えた時、 このままでは、マグロ漁が続けられるのか? 強い危機感を抱いております。

世間では、 水族館のマグロが死んでしまうと大騒ぎしますが、 絶滅危惧種に指定された、太平洋クロマグロを、 産卵場で子どもを産む前に、大量に獲っている事実を、 皆さんはご存知でしょうか?

私が住む壱岐では、 ほとんどの人が一本釣りで生計を立てていますが、 マグロ資源を回復させるための活動を続ける中で、 「効率の悪い漁業は淘汰されるべきである」とか、 「効率の良い漁法に転換してみてはどうか」 などという声を聞き、かなしくなります。

資源がなくなってしまえば、 消費者は含め全ての人が困ることになると思います。

私たちは、一本釣りだからこそ、 資源を将来にわたって持続的に利用でき、 魚を一本一本丁寧に処理することで、 美味しい魚を皆様に届けてきました。

また、各地方で暮らす漁業者やその家族を支えてくることができたと思います。

私たちは、資源を回復させ、 持続可能な漁業を確立したいと考えています。

そうなれば、各地の漁業がよくなり、 以前のような魅力的な産業となることで、 それが、地域創生に繋がると思います。

私たちは、以前より、 産卵期の禁漁を含む漁獲規制を 水産庁に求めてきました。

しかし、いまだに、産卵期の大量漁獲に対して、 有効な規制をいれることをしません。

今年もまもなく、 その産卵魚の大量漁獲が始まろうとしています。

自然界が生み出す生産量をはるかに上回るテクノロジーを人間が身につけた今、有効な規制がないことには、 資源が減るのは当然です。

今年も、例年通り、漁獲されれば、 日本海側のマグロは、今後釣れなくなると思っています。 私たち漁師に出来ることは、 現場の悲痛な声を上げ続けることだと思います。

本日お越しの皆様は、 資源管理に対し関心のある方ばかりかと思います。

今日のこの会場で聞いてわかったことを 多くの皆様にお伝えください。

多くの皆様が現状を知ることにより、 今まで変わらなかったことが、変わるかもしれません。

そうなれば、マグロ資源の回復に繋がると思います。

マグロ資源が回復することによって、 今は別の仕事をしている息子たちが、漁師の魅力を感じ、 親も息子に漁師をつがせる事ができると思います。

周りを豊かな海に囲まれた我が国の水産業が、 衰退することは忍びがたいことです。 適切な資源管理をすることで、成長産業へとなれるはずです。

一次産業の復活こそが、 地域創生に繋がると確信しております。

皆様、どうぞ、ご理解頂きます様、 よろしくお願い致します。

 

平成二十七年五月吉日

壱岐市マグロ資源を考える会 幹事長 尾形一成

 

漁師さんが漁師という職業を子供に継がせられるよう、資源を適切に管理していこうという思いを発信されたことにとても感動しました。

そのイベントの懇親会で尾形さんや会長の中村さんと知り合うことができて、その後Facebookなどで交流させてもらっていました。

 

そして今回のマグロサミットを企画されたということを知り、須崎くんと一緒に行ってきました。

 

会場はたくさんの大漁旗でお祭りのようでした!

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会場内も!

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中村会長による開会宣言。

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来賓を代表して平将明衆議院議員が挨拶をされました。

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近年は水産資源の持続可能な管理に関心を持たれる政治家の方が多くなってきている印象を受けます。

挨拶で話されている内容を聞いても、水産業の構造的な問題までしっかり把握されていました。

 

 

次に有識者によるプレゼン。

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阪口さんのことはFacebookなどで記事を読んで知ってはいましたが、お会いするのは初めて。

クロマグロの資源状態が右肩下がりで悪化していること、

その要因が自然環境の変動では説明がつかないこと、

資源管理をし始めた大西洋のクロマグロはしっかりとその結果が出ていること、

なぜ日本で資源管理ができないか、「ただ純粋に」資源のことを語れないのか、水産業の産業構造のこと、

これらを具体的なデータをもとにわかりやすくプレゼンしてくださいました。

 

 

個人的には要所要所に入る関西弁がグッときました。

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その後、全国のマグロ漁師さんたちが各地のマグロ資源の管理についてパネルディスカッションを行いました。

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時間の都合上仕方なかったと思いますが、それぞれが感想を述べる形式でした。

次回はもう少しディスカッションができる時間があると聞いている方としては面白いように感じました。

進行役を勝川さんなどにお願いできれば生産的な議論が盛り上がるように思います。

 

 

パネルディスカッションの後、各団体が持ち寄ったものを景品に大抽選会が行われました。

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え?

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ええ!?

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須崎くん。当選です。

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八重山鰹鮪研究会の方々が持ってきてくださった泡盛です。

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昨日美味しくいただきました!

 

壱岐の漁師さんが声をあげ立ち上がったマグロサミット。

とても素晴らしい取り組みでした。

このような取り組みは一過性のものではなく、続けていき、現状や今後の指針を共有していくことが大切だと思います。

まだ新米ですが、僕もこのような取り組みに協力していきたいと考えています。

 

ではそろそろ出港します。

 

 

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